SFC改定にあたりANAがすべきだったことと、他業種との比較

大変ご無沙汰しています。

6年も止めたままにしながらドメインやサーバー費用だけを支払い維持していてなんの意味があるんだろうと思っていた当ブログですが、このたびANAのSFCが大規模改定されるにあたり言いたいことはたくさんあるのですが「そういえば長文を発信する場があるじゃないか」と思い出したwためこちらに思いを書き記したいと思います。

レッドオーシャン業界における”値上げ”への姿勢

さてあまり詳細までは語れませんが僕が仕事で携わっている業界は、多くの企業を傘下に持つような巨大資本から中小企業、それこそ個人経営レベルの店舗まで多くが入り乱れるそれなりに競争のある業界で、いろんな施設がお客さんを掴むべく日々努力をしています。
多くの業界に波及しているようにこの業界も同様に近年急速に進む物価高騰に悩まされているため、どの施設も「値上げ」をしたいと考えています。
ですが、同じような価格帯でしのぎを削っている中でただ値上げをしてしまえば一気に客離れを招くことは明白です。

ですので、ほとんどの施設は改装によるハードのアップデートやソフト面のアップデート、またはその両方をまず先に実施し、「内容がよくなったから料金が上がったんですよ」という大義名分を整えてから値上げに踏み切ります。

業界で屈指の集客力を誇る施設で人気に陰りが見えないようなところですら、その施設のオーナーは「アップデートしなければ値上げは出来ない」と考えているんです。

なぜなら「余分に払うことになる意味を納得してもらわないと来てもらえなくなる」と信じているから。

この施設は業界でもトップクラスの人気店なんですよ。
改装が必要な老朽化や他店舗と比較しての見劣りが目立ってきたとかでなく自他ともに認める「トップを走り続けている」ような状態の施設なんですが、そういうお店ですらも驕ることなく値上げに対しては極めて慎重に臨まれています。
そのオーナーが手掛ける施設は何度か値上げを繰り返していますが、ほとんどの施設でその後も変わらない人気を保っているのはこういう姿勢がしっかりとお客さんにも伝わるからだと思います。

ささやかですが僕はそういうビジネスの現場を見てきています。

SFCの今回の改定を別業界の”値上げ”と照らし合わせてみる

今回の改定に至るまでSFC(を含むダイヤモンドやプラチナ含む)のサービスは毎年のように劣化が進み、ラウンジ混雑以外にも多くの苦情の声が増えていました。
今回のSFC改定は、世間的によく言われるようなものでは「値上げ」に該当するような部類の措置だと思います。
それも前提となる適用条件が大きく変わるものですので、利用者の相当数に莫大な負担を強いるような「相当大きな値上げ幅」です。

既存の顧客すべてに影響のある相当なインパクトのある”改定”ですが、ANAのしたことはなんでしょう?
300万円決済をクリアすると達する「SFC PLUS」は、、これまで通りのベネフィットを得られることに加え5,000マイルがボーナスとして付与されることになります。

これだけです。

これまでより「よくなったこと=余分に払うことになる意味」といえば「5,000マイル付与」だけです。
マイルの価値は2円とも4円とも言われていますが、ANA的には「1マイル=1円」ですべて計算しているようですので「300万円決済のボーナスは5,000円」と考えて問題ないでしょう。

300万を使って5,000円――

額も額ですが、マイルの付与であればシステムをほんの少し追加するだけで手間はほぼ無視していいほどの手間しかないはずですからね。
本当になんの手間も割かず、最低限のコストだけで「はいはい、メリット作ってあげますよ」と片手間でやりやがったな…
と僕は感じました。

ANAはそんなつもりはないと言うかもしれませんが、僕がそう受け取ってしまったのは事実です。

値上げするために悩み「先銭」が喉から欲しい状況なのに、その苦しい中でも融資を受けるなどしてでも先行投資し、お客さんへ誠意を見せてから「値上げさせていただく」多くの経営者を日々見てきたので、わりと衝撃だったんです。

これほどのことを、そんなお手軽にやっていいことなの?
と。

しかも、僕が見てきた経営者はステイタスホルダーなど付加価値を求める顧客ではなく、ほとんどが一般客…悪く言えば「庶民」ですからね。
「基本サービスを求めているお客さんに対して、その中でもより良いサービスを提供する」ことでしのぎを削っていますので…

個人的に感じるANAの罪深い点

ANAのSFC改定は、庶民向けのものではなくまがりなりにもステイタスホルダー…「優良顧客」相手のサービスですよ?
飛行機にも乗らず、ロクに決済もせずにラウンジなどベネフィットを貪るだけ貪って…とSFCホルダー批判もついて回る話ではありますが、それを可能にするシステムを作ったのはANA自身ですよね?
飛行機に乗らなくても、何十回でもラウンジ利用できるというシステムにしたのは他ならぬANAです。
そしてそういった「度を超えた利用」が圧迫しているのであれば、回数制限や使用条件をもうけるなどなんとでも改善できたはずなのに(入室チェックが必ずありますので)、なにもしなかったのもANAでしょう。

それどころか、さんざん言ってますがPP2倍で乗せたり、TV番組を使って修行を煽ったり、プライオリティパスへラウンジを解放したり。
どんどん状況を悪くしていったのもANA自身ではないですか?

SFCホルダーは、常に「システムを作ったANAのルールの中で」利用していた人がほとんどのはずです。
もちろん「限度があるだろ」とは思いますが、ルール違反をしたわけでもルールの穴を悪用したわけでもありません。
運用への対策が不十分であったり上記のようにいたずらに会員を増やし問題が表面化したのにロクに対策もしないままこういうことをし続けていたANAに批判が向くのであればわかりますが、(たいして利用もしていない人を含む)SFCホルダーばかりがここまで悪く言われるのはどうも違和感が拭えません。

もちろん、事実上崩壊してしまいクレームが止まらない現状のサービス改善は急務ですのでメスを入れる必然性は理解しています。
が、それらの改善もほとんどせずにただ利用者のハードルを上げる、そして前提条件を変える(=値上げ)のにその顧客へのリターンもほとんど用意しないようなANAの「やり方」はおかしいでしょ、と言ってます。

これくらいの対応がなぜできなかったのか

ステイタスとは無縁の庶民相手の商売ですら、値上げに意味を持たせるための措置をしてから値上げしてるんです。
「上質なサービス」というのは優越感など「気分的なもの」であったり「時間やスペースをお金で買う」ことが多くのベースにあるもので、それらは「信頼」が常にセットになっているデリケートなものではないでしょうか?

が、近年の相次ぐ”改定”により基本サービスの劣化を招きそれらの顧客から不満の声が上がっている状況で、実質5,000円という”ニンジン”の新設を行うのみで「大前提が変わる条件追加」をするという極めて乱暴なやり方をしたわけです。
しかも天地がひっくり返るレベルの変更なのに、顧客への個別のメールもなにもなくあっさりしたプレスリリースのみです。

日本のフラッグキャリアとしてこんな形でしか事態を改善できないというのは情けないですし、ANAの誠意など微塵も感じられず本当にがっかりしました。
「気持ちはわかるけどしかたない」
そんな声が多く見受けられますし、300万円決済はハードルが高い金額ですが達成できる方はわりと多いと思います。

でも、300万円クリアの先にあるものを見るとどうでしょう?
なんら希望が見えるような話はありません。
あるのは、サービスの劣化がひどくなっている各種サービスを継続して受けられるだけの権利です。
「そこまでする価値がある」と考える人は限定的ではないかと思います。
僕もそうです。
300万はやる気になればクリアできますが、この内容であればもっとベネフィットを得られるカードで切ったほうがいいと損得勘定します。

ではどうするべきだったか?

なので、サービスが改悪(値上げ)されると思わせるような”改定”時は「これまでよりよくなる」物を用意しないとダメなんですよ。
5,000マイル(=円)なんて雀の涙は別にして、ANAがしたのは「達成したら得られる」ではなく「達成しなかったら失う」という差の付け方をしてきました。

「これだけよくなる」ではなく「なくなっちゃいますよ?」です。

こういうやり方をする人や会社に対し、信頼感を持てるものでしょうか?
「いやらしいなぁ…」って僕は感じてしまいますね。

いくらなんでも、劣化したサービスの改善プランや新サービスなどを提示し、即実行できないのであれば実現時期のロードマップを示す…くらいはしないとダメではないでしょうか?
従来からの優良顧客の心をガッチリ掴むためにも。

例えばですが…

<空港内サービスについて>
●国内線ラウンジ内ドリンクとスナック類の拡充
●国内線ラウンジ内軽食提供日や時間の拡大
●国際線ラウンジのリフレッシングサービス拡大
★保安検査優先レーンの枠増加
※ラウンジ内の時間別座席指定を導入

<予約や搭乗について>
●”シンプル”で55日前から座席指定可
●機内食提供をグラスや陶器に
★機内食メニューの品質アップ

●…2027年3月までに
★…2028年10月以降
※…2029年4月以降

といった具合です。
なんら根拠もないので検討すらもしていない実現性無視ですが、「それができたらいいね!」と多くの方が思われるようなリアリティのある内容ではないでしょうか?
少なくともこんな感じで改善計画を先に示してくれるのであれば、「300万を払っても現状のまま」ではなく「払う価値」が出てくるので話は変わってくると思います。

ほとんどなにもせず5,000円だけのニンジンをぶら下げるとかあり得ませんよ…

ホント、これまでの経緯もありますのでこんな対応しかできなかったANAには残念でなりません。
こんなものが「ステイタス」サービスへの対応なのか…

この措置を受けて自分はこれからどうしていくか

いまはただただ、あるマイルを上手く消費できたら「最低限しか乗らなくなるだろうな」という気持ちです。

完全にやめられないのが辛いところですよね。
選択肢が少ないので。

事実上ANAかJALしかない寡占市場だからこそ、こんな無茶なやり方ができるんだろうなぁとホント感じます。
こんな横暴な商売をやってたら、レッドオーシャンだったら一気に客離れ引き起こしますよ…

先日苦情を入れたANAから、お詫びのメールが届きました。
予想通りのテンプレ感満載のメールでした。
多数寄せられているくじように個別にしっかり対応することなど不可能なのはわかっていますが、もっと「生きた言葉」が聞きたかったですね。
「変わらぬご愛顧」を最後にお願いされましたが、同じ気持ちで利用するのことはもう難しくなってしまったということは本当に残念です。

本来のホルダーの方々は、この結果「混雑の緩和」という不満が解消することが期待できるので歓迎していますが、それでいいんでしょうか?
そもそもサービスの劣化が進んでますし、300万の価値なんてないですよね?

今回のANAの対応は、観測気球の側面もあったかもしれません。
炎上することは間違いなく想定していたはずですので、それが「無視できるレベルか」を見極めているはずです。
そして、賛否入り乱れる中このまま収束していきそうな感じです。

となると、今後は状況次第で「もっと」となることは容易に考えられます。
ダイヤモンドですら座席指定が有料になった予約システムの変更はただの序章なのかもしれません。

効率的なリージョナルとして期待していたMRJと、機材置き換え計画の重要な部分である大型機777Xがよりによってどちらも凍結&大幅延期になってしまうという不運はたしかにあるので同情もしますが、そういう苦しいときこそ顧客第一で行かないともっと大きな物を失ってしまいかねないと危惧するのは僕だけでしょうか?

ホント、このままだと「高級なLCC」になっちゃうけどいいんですかねぇ、ANAさん…

本音と、即効性のある手っ取り早い改善案

ちなみに、僕は修行を終えてからは数えるほどしかラウンジは利用していません。
僕のベースであるセントレアはそもそもANAラウンジはありませんし(共用ラウンジは使う気になれないです)、年に数回乗っていた羽田便も復路の時間が変わったため利用できなくなったのが大きいです。

ですので「ラウンジ乞食がラウンジを使えなくなるから文句言ってるだけだろ!」という対象には該当しないということはお断りしておきます。
来年以降に海外旅行に行くことを考えているので、「ようやくSFCの真価が発揮できるところなのに、おい」とは思ってますけどね。
ほとんど利用することのないまま終わらされるのはあんまりだろ、とw

なので、手っ取り早く回数制限でいいのになぁと思ってるのが本音ですけどね。

・国内線ANAラウンジ 年4回
・国際線ANAラウンジ 年2回
・スタアラゴールド 年2回

とかでも全然いいのに…
相当混雑緩和しないですか?
あとは100万決済ごとに+2回ずつ増えるシステムだと理にかなってるかもしれません。

これがもっともローコストでできる対策だと最後に提案し、終わらせていただきます。

ご拝読ありがとうございました。

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