どうも、ピスモです。
今回から新シリーズとして『反面教師の鑑 -嘘みたいなポンコツサラリーマン-』を始めさせていただきます。
このシリーズはどんなものかと申しますと、ある日突然入社することになった社長令嬢の婿が”上司”となり、その無能っぷりに部下がさんざん振り回される……という悲惨なエピソードをお届けいたします。
と申しましても、そこら中に転がっているようなありきたりな読み物と思われるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
これがドラマの脚本だったら「こんなアホすぎる上司いねーよww」とバカにされて却下されてしまうほどの、恐ろしいくらいのベタエピソードを生み出し続けるすごい男なんですよ。「普通の感覚があればさすがにもうちょっと考えるでしょ」「さすがに学習するよね」と思うような基本的で簡単なことすらまったくできない無能っぷり。心の中でひそかに『奇跡の男』と呼んでるほどです(もちろんバカにしてるんですよ)。
ホント、誰が見ても納得するという非常にわかりやすいポンコツっぷりなんです。先代の時代から長年会社に出入りしてる業者さんなんて、言葉を二言三言交わしただけで「ああ、こいつはダメだとすぐわかった」と言ってたほどです。にじみ出てるんですよね、言葉の端々に……。
ですので、ここまでポンコツエピソードのオンパレードということは、単純に 「逆のことをやれば優秀になれる」という見事なまでの反面教師になっている ということなんです。ですので、 これもデキるサラリーマンになるためのヒントとしておおいに役立つ と考えシリーズ化することにいたしました。
ひとつひとつのエピソードはよくあるような話ばかりかもしれません。
でも、彼はそれをすべて1人でやってのけるんです。
人間だれしも「いいところ」というのは少しはありますよね? ミスが目立つような人でも「全然ダメダメだけど、アレだけは上手くやるんだよねー」みたいなことって1つ2つはあるものです。でも、こと彼に関しては仕事面でそれを見つけることはほぼ不可能なレベルなんです。それほどにひどい言動のオンパレード。
ぜひともシリーズを「通し」でお読みいただけると、その”すごさ”がご実感いただけるのではないかと思います。
とはいえ、小難しい話でも何でもなく単純に読み物としてもサラッと気軽にお読みいただけるような仕上がりにしようと頑張るつもりですので、ぜひお読みいただいて「こんな奴ホントにいるの?」「あー、うちの先輩がまさにこんな感じ!」などと楽しんでくだされば幸いです。
もくじ
ep.01_アポを取って……無視する男
サラリーマンの基本、社会人の基本
サラリーマンにおいてものすごく大事なこと、それはなんでしょう?
はい、「約束を守る」ということですね。まぁこれはサラリーマンにおけるアポイントメントのような重要な約束にかかわらず、人が集団で生活するのであればどんな人どんな場面においても求められる、人として極めて重要なことです。
さて、このシリーズの主役たる婿養子。……そうですね、わかりやすいように「T」と呼ばせていただきましょう。
このTは、サラリーマンの業務における基本中の基本、 商談を行うための他の会社とのアポイントを取ったあと、そのことを忘れて予定を入れてしまいその相手を途方に暮れさせる ――という、社会人としてあるまじき行為をしてしまう男……それも常習犯なんです。
なぜしてはいけないのか?
どなたでもそうだと思いますが、仕事でもプライベートでも、会う約束をした場合はそれに向けて予定を立てますよね? 多くの方はスケジュール帳やスマホのカレンダー、スケジュール管理アプリなどにメモをするのではないでしょうか。そして、その予定が入った日を避けてその後のスケジュールを立てるはずです。
じつに当たり前の話ですね。
そのようにしてスケジュールを調整したうえで当日に現場に向かったらその相手が不在であったり、前日に連絡を入れて念のため確認したら都合がつかないと言われたりしたらどうでしょう?
焦りますよね?
腹が立ちますよね?
誰だってそうだと思います。そのためにスケジュールを調整していたわけですから。約束したはずなのにその約束が守られないということは、それまでのスケジュール調整が無駄になることを意味しますし、また新たにスケジュール調整をする必要があるかもしれないということです。
ほとんどの方はわかりきっていることですのであえて書くまでもありませんが、それでもあえて書きます。
極めて迷惑な行為です。
約束したことを守らない、アポをスッポかすということは、相手に大きな迷惑をかけ信頼を失うことになる致命的なミスということです。ホントにあえて書くまでもないことなんですが。
でも、そのTはやるんです。それもしょっちゅう……!
メモをしない!
なぜこんなことが起こるのでしょう?
答えは簡単です。彼はメモをしないんです。
さらに。
それに加えて彼は、恐ろしく忘れっぽいんです。冗談抜きで「三歩歩いたら忘れてしまう」という有名なフレーズが、信じてしまえるほどにすぐ忘れてしまいます。
ですので、「あれ、予定なんか入ってたかな?」となんとなく気にすることもなく、少し前に入れた予定のことなどは「なかったかのように」上書きして次の予定を入れてしまうことが何度も起こるというわけです。
ありえませんよね? そう、普通はこんなことありえないんですよ。こんな社会人としての基本中の基本であることが出来なければ、かなり早い段階で叱られ教育されるはずですから。なんといっても、ビジネスの場で約束を守らないなどということは、もっともやってはいけないことですので。
でもこのTは社長令嬢の婿という立場で入社してますから、しっかりと教育されませんでした。また、彼の振る舞いを厳しく叱り、正すような人物もいませんでした。
彼は自分が致命的な問題を抱えているとも気づかないまま、取引先や部下そして会社に多大な迷惑をかけ続けているというわけです。
改めてご説明しますが、他の社員にはない決済権を持ち大きな商談をするポストに就いています。
これがいかに恐ろしいことかおわかりいただけるでしょうか?
フォローするのはいつも部下
もちろん、こんなことを続けていては取引先から不信感を招き続け、会社が立ち行かなくなってしまいます。当然ですよね。お飾りだろうがなんだろうが形式上は責任者として統括すべき立場となっている人間がアポをすっぽかし続けるわけですから。
社会人として会社に勤めている方なら、これがいかに恐ろしいことかおわかりいただけると思います。
部下がそんなことをしていれば厳しくしかるべき立場なのに、自らそれをやり続けてしまうダメな上司なんです。そのままでは会社の信用が失墜してしまいますすので、いつも部下がフォローしているというのが実態です。「いつもうちの上司がすみません」と。
上司が犯してしまった失態を部下が尻拭いする……これほど信用を失う行為があるでしょうか?
いやありません。
当の本人は、アポを入れたことも忘れて別の予定を入れ、 部下が尻拭いしていることも知らないまま「頑張って仕事してるつもり」を過ごす日々 です……。
順応してくる周囲
こういうことが続くと、さすがに取引先も「また忘れられてやしないか」と心配して、前日などに確認の電話を入れてくるようになります。呼びつけてきたくせにいざ行ったら当の本人はいないとか、たまったもんじゃないですからね(書いてて改めて胸が痛くなるひどすぎる愚行です……)。
でも、電話がなかなかつながらないことも多々あるお忙しいお人です(皮肉)。電話の繋がらない取引先は、たまりかねてT直属の部下に「明日お約束してるんですが大丈夫ですよね?」と確認の電話を入れてきたりするわけです。
ぶっちゃけ「知らんがな」ということも多いんですが(当のTは自分の予定をあまり人に言わないまま行動するため)、悪いのは完全にこっち(こちらの会社)ですからね。Tのその「癖」は社内社外問わずなので部下は日頃から身をもって体感してますし、取引先へまでそういう思いをさせてしまう心苦しさと憤りを感じながら、「うちのTがご迷惑をおかけし申し訳ありません」と、上司のいたらぬ点を謝罪し対応するというわけです。
悪びれない、説明しない、対応しない
しかも、です。
「こいつホントにクズだな」と思うのが、取引先から事前に確認するための連絡が来たことを受け、部下がTに確認をとった場合のやりとりです。ご覧ください。
という具合です。
自分がアポをとったこと、それを忘れていたこと、またそれによって部下に面倒をかけていること、それらの すべてにおいて説明や謝罪なんてまったくしない んです。「起きたこと」に対しての対応の指示だけです。それも自分が原因で引き起こしてる事態だというのに、偉そうに「上から」です。
最悪、
「あ! ごめんオレすっかり忘れて別の予定入れちゃった。またやっちゃったなぁ。先方にはすぐ謝罪の連絡入れとくから、悪いけど○○くん対応しといてくれる? 今度埋め合わせするよ(>人<)」
みたいに言ってくれるならまだいいと思うんですけどね。でもまったくありません。ただの一度もありません。なんなら上記の電話でのやり取りも、ヘラヘラ笑いながら当たり前のように言ってくるほどです。
さらに(まだあるのか)。
自分でとったアポを自分が忘れてすっぽかすことになるのに、 直接迷惑をかけた取引先へ自分で謝罪の電話すらかけない んですよ!
ホント、なにからなにまであり得ません。なんなんですかね、あいつ(笑)。
彼から学ぶこと
以上、作り話ではないかと思うほどのTのクズっぷりでした。彼のこういう言動を反面教師とするなら、以下のことが言えますね。
●アポをとったらすぐにメモする
●なにか予定を入れるときはメモをチェックする
●ミスをしたときはしっかり謝る
●自分のミスの尻拭いを部下にさせない
●取引先にはちょっとしたことでも連絡をする
……社会人としては当たり前のことすぎて、改めて書くまでもないことばかりですけどね。でも、慣れてきたり偉くなったらうっかりしてしまうこともあったりします。
いま一度しっかりと自分を見つめ直して、きっちりできるようにしましょう。